●半井小絵さん、山本志織さん(女性気象予報士)は、テレビで聞ける今いちばん正確で美しい日本語の使い手?
日本は全国各地に独自の方言がありますから、子ども時代をその地域で過すと、その方言の発音が後に標準語を話す場合に影響を与えるのは当然です。どうしてもアクセントやイントネーションが不安定になりがちです。
そんな時、昔はNHKのアナウンサーの発音には絶大な信頼がありました。NHKのラジオを聞いて覚えたり、修正するのが正しい発音を知るいちばんの早道だったのです。しかし、テレビの普及によって、ラジオを聞くよりもテレビを見る時間が圧倒的に多くなってしまいました。問題はこのテレビから日常的に聞こえてくる日本語です。
テレビ番組の製作者や出演者は、よくいえば個性を競うため、遠慮なくいえば、言語感覚が劣悪な人が多いため、テレビから聞こえる日本語は、とても日本語の発音の模範とはなり得ません。方言が多用されるのは、それが正しい発音の方言であれば問題はありません。困るのは、ごく一般的な日常語の発音なのです。
具体的な例をあげてみます。「熱い思い」「今日も暑い」の「アツイ」は同じ2番目の「ツ」に強勢アクセントがあります。それに対して、「厚い本」「人情に篤い」の「アツイ」は平坦に発音してアクセントを置きません。これを逆に「厚い視線」とか「暑い本」に聞こえてしまう発音がニュースを読むアナウンサーでも多いのです。また、「橋」と「箸」ですが、これは高低アクセントの位置が違います。これも間違って発音されることが多いですね。
このアクセントについては、判断に迷う場合は、とりあえず平坦か、後方にアクセント(尻上がり調)を置いてしまう、という傾向が最近強くなっています。たとえば、自転車は以前は「テ」を高く発音することが多かったのですが、今は平坦が一般的です。この傾向が非情に多くの単語に適用され、少しでもアクセントが不安な場合は、平坦もしくは尻上がりで発音してしまう人が多いのです。「委員会」は2番目の「イ」に、人の名前では「江副さん」は最初の「エ」に、地名では「名古屋」は最初の「ナ」に強勢アクセントがありますが、これを平坦に発音する人が多いですね。あたかも最初にアクセントを置くのを怖がっているように感じられます。カタカナ表記の外国語の発音でアクセントが間違っているのは、もう数え切れないほどあります。
さてそこで現在、発音の模範となるような、正確で美しい日本語を話す人はテレビにいないだろうかと探してみました。NHKの現役アナウンサーでは誰だろう、と探しあぐねていて、ハッと気づいたのが気象予報士の半井小絵(なからいさえ)さんと、山本志織(やまもとしおり)さんのお2人です。いずれも夜7時からの「NHKニュース7」に出演中で、半井さんは月~金、山本さんは土日と祭日が担当です。
このお2人の日本語の発音は、今、テレビで聞くことが出来る最高レベルにあると私は確信しています。発音が明瞭で、アクセントやイントネーションが正確なだけではありません。言葉全体の流れがよく、無駄がなく品格が感じられます。最近の女性アナウンサーには芸能タレント、もしくは芸能タレント予備軍めいた人が多く、メイクはバッチリですがナレーションが未熟で、しかも言葉全体に媚を売るような品の悪さがあります。半井さん、山本さんのお2人には、まったくそのようなイヤラシサがありません。それでいてその挙措、表情には若い女性らしい上品な魅力があふれています。半井さんと山本さんのプロフィールは、NHKニュース7のキャスター紹介ページをご覧ください(文字列をクリックするとページが開きます)。
そう思って朝の「おはよう日本」の天気予報を見ましたら、女性では加藤祐子さんが担当で、やはり素晴らしい日本語を話していました。男性予報士のなかにも、なかなかきれいな日本語だな、と感じさせられる人がおりますが、このところ毎日暑いので(!?)、今日は女性だけにしておきます! みなさん、ぜひ女性気象予報士の日本語を注意して聞いてください。


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