●カタカナ入り省略語、目線と視座

今朝初めて出会った子ネコです。あまり可愛らしいので声をかけたら逃げずにカメラに向ってくれました。ノラなのか飼いネコなのか、まだ不明です。私の仲間の仙子の縄張りと近いので、ノラだと少し不安です。本文とは関係ありませんが、日本語の第1回なので新人、いや新ネコにご登場願いました
今日も暑いですね、なんてことを毎日書いてもあまり意味はないのですが、後々の記録にもなるでしょうから、あえて書いておきましょう、“今日も暑いですね”と!
昨夜、正確には今日7月23日の午前0時40分ごろですが、私の住む東京郊外の三鷹市では、かなり“いい音”で雨が降り始めました。予報では雨の降る確率は極めて小さかったのですが、気象の神様(注)も気の毒と思ったのか、かなり本格的な感じで降り始めたのです。30分もすると、室内の気温が2、3度下がりました。不思議なもので、たったこれだけのことで呼吸が少し楽になりました。
しかし、残念。腰砕けとでもいうのでしょうか、1時間もすると雨音は遠ざかってしまいました。そして、午前4時に外に出てみますと、東の空は“ヤル気マンマン”。軽く朝焼けして、いかにも猛暑になりそうな気配が充満しておりました。
今日は「言葉」項目の日本語第1回です。昨日、意を強くする文章に出会いましたので、第1回は、その紹介から始めることにします。日本経済新聞7月22日夕刊の1面コラム「あすへの話題」で、東洋英和女学院大学学長の村上陽一郎さんが「使いたくない言葉」と題して、最近の日本語について苦言を呈しておられたのです。
まず、村上さんがいちばん気になるのは、無意味な省略形、とりわけカタカナの入ったもので、代表例が「スパコン」「地デジ」「冬ソナ」など。これらの言葉が、
― 第一、書いても、音に出しても、とても汚らしいではありませんか。―
と、いわれます。私も7月20日に「地上デジタル放送のアンテナについて」の項で、「地デジは何度聞いても、響きが美しくありません」と書いたばかりでしたので、まさに我が意を得たりの思いがしました。村上さんは、なぜこういう言葉が使われるのかについて、次のようにいわれます。
― 推測するに、何となく、きちんと言えば、素人で、省略すると、業界に近い、玄人っぽい、その方面に通暁している、というような思いがあるのでは。如何(いか)にもそれはさもしい根性ではなかろうか。―
このご意見にもほぼ同感です。さらに付け加えれば、こういう言葉をいち早く使うのは、マスコミ関係者、官僚たちに多いのですが、彼らには、なるべく美しい言葉、なるべく正しい言葉を使おう、という美的、道徳的感覚が欠如していることも大きな原因でしょう。
中村さんはこの後、アメリカ語の例をあげるのですが、それは別な機会に譲り、今回はあくまでも日本語に的をしぼります。村上さんはコラムの中で、もう一つ、省略形ではないが使いたくないイヤな言葉として「目線」をあげています。
― これもテレヴィジョンや映画の世界から流行り始めたらしい「目線」という言葉。使いたくない言葉だ。そもそも、湯桶読みだということも気にならないわけではないが、「視線」とか「視座」というきちんとした言葉があるのに、何故、この妙な言葉が、かくも幅を利かせるのだろうか。―
これについては少々異論があります。「目線」がイヤであることは同感です。しかし「視座」もよくありません。この言葉は、恐らく社会学か哲学の翻訳語として作られた、ごく新しい言葉だと思います。手許にある少し古い国語辞典では、広辞苑第2版の1970年第3刷、新潮国語辞典新装改訂版の1985年第4刷を見ましたが「視座」は掲載されていません。1995年の大辞林第二版には登場します。
新しい造語がすべてよくないとは思いませんが、「視座」が“きちんと”しているとは思えません。響きも美しくありませんし、簡単なことを難しいことのように装う気配が潜んでいるように感じられます。これは私だけの考えではなく、出展は今探し出す余裕がありませんが、丸谷才一、森本哲郎さんはじめ多くの文学畑の方も「視座」への不快を表明されています。「視線」に加えて「視点」などのほうがずっといいと思います。
(注)気象の神様:これは勝手に私が書いた言葉ですが、JR高円寺駅南口の氷川神社に、気象神社が境内末社として祀られていることを知りました。これは日本唯一という珍しいものですが、ちょっと軍国的な匂いがあるのですが、氷川神社のホームページから説明を引用しておきます。詳しくは色文字をクリックして該当ページをご覧ください。
「陸軍気象勤務の統括・教育機関として旧馬橋4丁目(現・高円寺北4丁目)に創設された陸軍気象部の構内に、昭和19(1944)年4月10日に造営。戦後の神道指令で除去されるはずが、連合軍宗教調査局の調査漏れで残ったため、当局に申請して払い受け、昭和23(1948)年9月18日の氷川神社例大祭の際に遷座祭を行ったという。気象神社の例祭は、気象記念日の6月1日だ。

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