●思案顔のエルトン君
仙川河畔で出会う動物は、もちろんノラ猫ばかりではありません。いちばん多いのはなんといったって犬です。さまざまな年齢の方が犬を散歩させています。時にはハッとするような妙齢のご婦人が大型犬を連れて歩いているのに出会うこともあります。
犬は出会う人間の経済状態にも、また職業が何であるかにも関心がありません。ただひたすら、目にする人間が自分の好きなタイプであるかどうかしか気にしていませんから、多くの場合、犬は私に近づきたく思い、遊んで欲しそうな顔をするのであります。そしてこの時、なのであります、飼い主の品格が問われるのは。
「○○君、こんな人に関心をもっちゃいけません、あなたもうちの子をそんな目で見ないでください」
と言わんばかりの険悪な形相をする人もあれば、
「あら、○○ちゃんよかったわね、このオジサンあなたがカワイイっておっしゃってるのよ。えー、もう5歳にもなるのに甘ちゃんで」
と、嬉しそうにされる方もいます。
今日ご紹介するのは、エルトン君、柴犬、14歳です。私の飼っていたジョンという平凡な名の柴犬はCD誕生の1982年に生まれ、DVD登場の1996年に死ぬという、メディアの申し子のような(!)犬でしたが、14歳になって急に体力がなくなったので、エルトン君もそろそろそんな時期かなと心配しています。
どうして知り合ったかというと、彼は決まってある橋のそばで座り込んで動かなくなり、そこに私が出くわすということが何度か重なってご主人のご夫人と話すようになったのです。その橋というのは、私の歩く仙川河畔の中間地点から300メートルほど上流の「谷端二の橋(やばたにのはし)」という名のつけられた、ごく平凡な橋なので、彼がこの橋が好きだからということではなさそうです。
ここを通りかかる顔なじみの犬を待つというわけでもありません。エルトン母さんによれば、理由は思い当たらない、ただここにくるとドタッという感じで座り込んだり腹ばいになってしまうのだそうです。ここでじっとしているときのエルトンの表情もいいのですが、エルトン母さんがまたいいんです。
普通は、何とか動かそうと、なだめたりすかしたり、挙句は首輪が抜けそうなほど強く綱を引っ張る人が多いのですが、彼女はいつも可能な限り彼に付き合って静かに彼に語りかけているのです。私は彼が動き出すまで話し込んだことはありません。それほど長く彼はここに座り込んで、考え深そうな表情でゆっくりと周囲に視線を送っているのです。
老境を自ら慈しむ、という感じですね。私の愛犬は部屋で眠っている時間が長くなり、散歩はあまり行きたがらなくなってしまいましたが。柴犬で14歳を過ぎると、平均寿命以上ですから、いつ何があっても不思議ではないのですが、エルトン君はまだ毛艶もよく、目やにもなく、歩き出せば足の動きもしっかりしていますから、まだ何年も生きられるかもしれません。今度会うときは、運動は忘れて、ゆっくり彼と話したいと思っています。
●読売新聞の最新世論調査について
最近この日誌に、マスコミや政府批判が少ないとお感じのみなさん、確かに書きたいことはたくさんあるのですが、私は少し疲れました。そのうちまとめてドンと並べたいと思うのですが、基本的に私の考えは変わりません。それでも、今日はこれだけはいっておきたいと思うことを手短にまとめておきます。ここからは少し面白くない、退屈なお話かもしれません、恐縮です。今朝の読売新聞は1面トップで、
「内閣支持急落38%、不支持52%…読売調査」と大げさな紙面づくりをしています。これは写真を掲載する気にもなれないので、文字だけで恐縮ですが、全文を読みたい方は、読売オンラインでご覧ください。この全国規模の電話調査は7月12日から13日に行なわれ、4600件に発信し、有権者在住世帯が確認された、1831件のうち58%の1063件の有効回答が得られたというものです。たまには、こういう数字資料も参考になります。詳しい質問項目なども「2010年7月緊急電話全国世論調査」のページに掲載されています。
この世論調査によりますと、民主党が議席を大きく減らした理由で回答がいちばん多かったのが、「菅首相の消費税発言への批判」で37%、次いで「民主党の公約への不満」が31%、そして「民主党政権の実績への不満」20%が続いたということです。
こういう記事を見ていますと、今さらながら新聞の定見のなさと、スポーツ、芸能スキャンダル報道と同じ路線でしか政治を捉えていないことを嘆かわしく思うのです。
簡単にいいますと、読売新聞はずっと、菅総理は選挙で不利になることが確実なのに、消費税税率引き上げを言い出したのはエライ、と評価していました。もっと堂々と国民に消費税引き上げ、法人税率引き下げの必要性を訴えるべきだといい続けてきました。何よりも今求められているのは、財政を建て直し、安定した恒久財源を確保して社会保障や年金、医療改革に取り組むべきだ、という意見だったではありませんか。
そして、予想通りに民主党は議席数を減らしたのです。ならば、読売新聞はくだらない世論調査などはやめて、大いに菅総理を評価し、議席を減らしても読売新聞はあなたの方針に間違いはない、消費税に反対するのは国民が間違っている、というキャンペーンを張るべきではないのでしょうか。
お断りしておきますが、私は消費税率引き上げについては、意見をいう資格がありません。しかし、みんなの党、という変な名前の政党のいうように、消費税を引き上げる前にすることがあるのではないか、とは思います。いずれにしても、財政と税の問題はそう簡単にはわかりません。私はむしろ、現在の金融資本主義、自由主義経済を根本から考え直さなくては、人類の未来はないと思っています。
今の政治家や、物理学でいえばニュートン以前のレベルにしかない経済学者、それと勉強の足りない大新聞・大テレビの政治経済部が考えたって、政治経済学で万人を納得させる正解など出るはずがありません。
そうそう、ところでみなさん、みんなの党の渡辺喜美代表は何度も「みんなの党はアジェンダの党」だから民主党とは連立しない、というような言い方をします。「アジェンダ」って何ですか? 私の周囲にこの言葉を正しく理解している人は少なかったのですが。
みんなの党のホームページは、じつに盛りだくさんな内容ですが、目に付くところには「アジェンダ」という言葉の説明はありません。参院選後のインタビューで渡辺さんが「アジェンダ=政策課題に沿った議会活動をしていきたい」といったと書いてあるものがありましたが、「アジェンダ=政策課題」と言い換えなければならないような言葉を、ポスターやインタビューで大々的に使うのは、納得できません。
大辞林(三省堂)によれば「実施すべき計画。行動計画。議事日程。議題」などと語義があり、「agenda」の綴りも書かれています。しかし、こういう言葉の使い方はいかにも、官僚的ではないでしょうか。ご一考いただきたいと思います。たとえ日本の大半の人が「アジェンダ」を知っていたとしても、この言語感覚では、政策の中身にも疑問を感じないわけにはいきません。

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