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●SNF日誌とは

 たしかに、ウンザリさせられることの多い毎日で、新聞、テレビなどのマスコミも、まるでこれしか話題がないかのように、残忍な事件や、経済の停滞、政治批判を並べ立てています。ていねいに見たり読んだりしていると、生きているのが無駄であるかのような気さえしてきます。
 しかし、人間社会には、もっと心豊かになる話題もたくさんあります。素晴らしい技術の研究や開発に寝食を忘れている人もたくさんいます。本欄では、そんな“ちょっといい話”をたくさん集めて、人間として生まれてきてよかったという気持ちを多くの人々と共有したいと思っています。同時に、その“いい話”を引き立てるために、“イヤな話”も時々交えることもありますが……。

経済学のレベルはニュートンよりだいぶ前?

●朝日新聞7月2日社説を読む

 7月1日に「菅総理は読売新聞の経済政策を受け入れたのでしょうか」を掲載しましたが、その最終行から少し手前に「世の中の学問で経済学ほど無力な学問はない、と私は思います」と書きました。
 学者でもない私のこういう意見は不評を買うだろうなと思っていましたら、朝日新聞7月2日の社説に面白いことが書かれていました。「財政再建と成長 両立へ、新たな道開こう」という、菅総理を激励するとも受けとれる“論”を展開しています。
 途中は面倒なので、結論部分を引用しておきましょう。

― 財政再建と成長の両立。それは決して簡単ではないが、英知を結集して挑戦すべきである。これに成功すれば、日本は危機克服モデルの開拓者として世界に大きく貢献できよう。―

 ずいぶん楽観的な世界観だな、と私は思うのですが、全文はネットでも見られますので興味のある方はご一読ください。URLは http://www.asahi.com/paper/editorial20100702.html です。私が社説で面白いと感じたのは「増税しても成長へ」という小見出しのすぐ後に出てくる、次の一節です。

― 世界同時不況から脱し、次の危機も封じる有効な処方箋(せん)は何か。大恐慌の時代より格段に進歩したはずの財政・金融政策も現代経済学も、その問いに対する明快な答えを出せていない。「経済学は物理学でいえばニュートンよりだいぶ前の段階」(小島寛之帝京大教授)とさえ評されるゆえんだ。 ―

 万有引力の法則で知られるれるアイザック・ニュートン(Isaac Newton 1642 – 1727)が出てくるとは思いもよりませんでした。私は極めて出来の悪い文系人間ですので、ニュートンよりだいぶ前の段階の物理学が、正確にはどのようなレベルにあったのかはよくわかりません。でも、小島寛之さんは東京大学理学部数学科卒業の数理経済学者ですよね。数学・物理学に加えて経済学にも明るい小島さんが、こういわざるを得ないということは、それほど現在の経済学は無力である、ということではないでしょうか。私の意見と似ているではありませんか!
 物理学や数学なら、その積み上げられた研究成果を利用することによって、たとえば人工衛星を月や小惑星に正確に着陸させ、地球に無事帰還させるというようなことができます。ニュートン以前から今日まで、人間社会にさまざまな形で貢献しているわけですね。ところが、近年の経済学を見ていますと、非常に複雑な数学の成果を応用して、デリバティブやらサブプライムローンなどという、奇怪な金融派生商品を考案し、それらが人間社会に貢献するよりは、むしろ、そういう商品がなかった時代の混乱よりはるかに大きな打撃を世界経済に与える、という悲惨な事実が明らかになっているのです。
 それでもなお、今また、財政再建と成長という極めて難しい問題を、菅総理は何人かの経済学者や官僚が考え出した方策によって解決しようとし、マスコミは概ねこれを支持しているのです()。

 そもそも、健全な財政とは何でしょうか、そして世界の大半の国が財政を健全に維持することなんて現実的に可能なのでしょうか? 富める国があれば貧する国がある、膨大な人口増加に苦しむ国があれば、少子高齢化に悩む国がある、しょせん人類社会は自由主義経済のなかでは、競争原理によって常に繁栄するものと、衰退するものに2分されていく宿命にあるのではないのでしょうか?
 このように考えていくと、今の政治経済の専門家は、根本的な命題をあいまいなままに、“現在”を取り繕っているだけではないのか、と私は疑問に思うのです。これではまるで、病根の根本治療には目を向けず、対症療法の腕を競う医師のようではないか、と。
 今、とりあえず政治に責任のない立場からの発言で恐縮ではありますが、このようにすべてのことを鵜呑みにせず、多くの人が考えを深めることが大切ではないかと思います。

:今朝(7月4日)の「サンデーモーニング(TBS)」で、コメンテイターの浅井信夫(国際政治学者)さんは、こんな発言をしていました。ただし、発言そのままではなく、私の記憶に残っている要旨です。あらかじめご了承ください。

― そもそも、消費税が選挙の争点になるのはおかしいんです。もっと民主党はマニフェストに掲げたことのうち、出来ることと、出来ないことを明確にし、出来ない場合はその原因が財源不足によるのかどうかを説明すべきです。そういうことを一切せずに、単に消費税率引き上げを争点にするのは間違いだし、そもそも、菅さんも消費税についてはまだ明確な考えをもっていないのではないでしょうか。これはマスコミの報道姿勢にも責任があるのではないかと私は思います。―

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