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●SNF日誌とは

 たしかに、ウンザリさせられることの多い毎日で、新聞、テレビなどのマスコミも、まるでこれしか話題がないかのように、残忍な事件や、経済の停滞、政治批判を並べ立てています。ていねいに見たり読んだりしていると、生きているのが無駄であるかのような気さえしてきます。
 しかし、人間社会には、もっと心豊かになる話題もたくさんあります。素晴らしい技術の研究や開発に寝食を忘れている人もたくさんいます。本欄では、そんな“ちょっといい話”をたくさん集めて、人間として生まれてきてよかったという気持ちを多くの人々と共有したいと思っています。同時に、その“いい話”を引き立てるために、“イヤな話”も時々交えることもありますが……。

ソフトバンクが後継者育成? 孫さん、本気ですか?

 この白い花は、ここに書く記事とはまったく関係のない、仙川河畔の雑草です。名前はまだわかりません。ご存知の方はご教示ください。

 日本経済新聞、6月26日朝刊9面の囲み記事が気になりました。見出し文字を大小無視して並べてみます。

― ソフトバンク・孫社長 後継者育成へ300人選抜 週1回、自ら指導 ―

 孫さんが自身の後継者育成のためのプログラム「ソフトバンクアカデミア」を7月から開始する、と6月25日に発表したのだそうです。松下幸之助さんのように塾(アカデミア)でも作って、教育に乗り出すのかと一瞬目を疑いました。
 しかし、社内外から300人の候補者を選抜して、“10数年かけて”直接指導し、自分の立場をバトンタッチしようという、個人的目的のようです。孫さんはこういっています。

― 次の世代への事業継承はソフトバンクにとって、ある意味最大のリスク。通常の社員教育プログラムではなく、後継者育成に特化したプログラムで後継者を育成する。―

 あれだけ、上手に他人の成果を利用して、儲かる巨大組織を作り上げた人ですから、ご自分の立場を誰か別人に譲ることは、大きなリスクに違いありません。その不安を解消するために、社会に還元すべき利益を投じて、自分が安心して任せられる後継者を自らの手で育てる、ということなのでしょう。
 しかしこの程度のことが、なぜ日本経済新聞の囲み記事としてとりあげられるのか、その意味が私にはよくわかりません。大成功した強欲な個人商店のオヤジが、せっかく築き上げた身代を守るため、自分の頭がしっかりしているうちに、後釜を必死で育てようと決意をした、それだけの話に過ぎないように思うのですが。松下政経塾とは次元がまったく違う話ですね。
 私は、ソフトバンクの事業の詳細を知る者ではありませんが、少なくても孫さんがどのようにソフトバンクを作り上げてきたのかは、ぼんやりとわかります。経済に明るい人ならソフトバンクの何たるかは、もっとはっきりと見えているはずです。
 もし、彼に「ヤフー」や「ボーダーフォン」や「アップル」がなかったら、ソフトバンクはいったいどういう企業になっていたでしょうか。それは誰にでも明らかなことです。しかし、そのやり方が悪いとはいえません。むしろ孫さんでなければ出来ない、偉大なことだったのかもしれません。でも、そのような彼の事業戦略を後継者に伝えるために、「アカデミア」とは大げさですね。プラトンがどこかで笑っているのではないでしょうか(注)。
 日本経済新聞の伝えるところによると、孫さんは30年後のソフトバンクグループの姿を次のように描いているそうです。

― 時価総額で世界のトップテン、200兆円(現在の時価総額は約2兆7,000億円)規模を目指す。これは大ボラですが、本気の大ボラです。―

 私はこう思います。30年後の社会がまだ株式の時価総額を競っているようでは、人類はとてつもなく不幸な状態に追い込まれている、と。私は今日の経済社会の混迷の大半の原因は、金融資本主義経済にあると思っています。これを支えるのが、孫さんの会社のように自分では何も生み出さず、他人の事業に投資をして莫大な利益を上げることを是とする考え方と、株式市場の存在なのです。
 よく考えてみてください。株式会社とは、ある事業家が起業して経営をしていくための必要資金を、株券の形で不特定多数の人から集める。事業家は利益を上げ、その一部を株主に配当の形で還元する。これが基本です。しかし、今現在、誰がこんな考え方で株取引をするでしょうか? ほとんどの人が、株で目指すのは、安値で買い高値で売ること、つまりその会社の事業の成果には関心がなく、その成功不成功によって動く株価を適切に読んで売買し、利益を上げることです。会社の存立や従業員の生活になどまったく関心がありません。
 この考え方がまかり通るようでは、人間社会の未来はもうないと私は思います。毎朝毎晩株式相場をにらんで資金を右左に移動させることが、どうして“仕事”なのか、それを疑問に思わないからこそ、金融というバケモノが支配する社会に陥っているのです。
 孫さんが狙う時価総額トップテン、というのはそういう非人間的社会を動かす間違った株式市場と株取引の実態を象徴するものだと思います。最近ではそのことに気づく人が少しずつ増えてきて、新たな人間社会の幸福の指標を求めようという動きも出始めています。その意味からも、孫さんの夢を託する「アカデミア」は、古代ギリシャ社会が歴史的の彼方に埋もれたように、30年後は、過去の遺物となっていることでしょう。いや、そうでなければなりません。

(注) アカデミアとは、アカデミーやアカデメイヤと同じで、古代ギリシャでプラトンが自らの学院を「アカデメイア」と名づけたことに由来する言葉です。この歴史的名声を誇った学校は紀元前387年にアテナイに設立され、529年に廃されますが、近世以降はこの名に因んで、一般に学問所や芸術の機関を指すようになりました。孫さんのプログラムも学問か芸術なのでしょうか?

2 コメントがありますソフトバンクが後継者育成? 孫さん、本気ですか?

  • T.Shinohara

    何でしょう?西洋ノコギリソウみたいに見えますね・・・。

  • エコノミックアーニマール

    さらっと読んだ感想ですが、孫氏を嫌だと言う立ち位置からのみ考えていませんか?
    他人の商品で商売をするのがそんなに悪い事なんでしょうか。
    流通業ってしってますよね?イオン、ヤマダ電機などの事です。
    一部プライベートブランドで商品を作っているようですが
    OEMですから、他者の商品です。
    商社って存在もしってますよね?
    そこは何で商売をしているんでしょう。
    三菱、伊藤忠その他大小あわせるとかなりの数ありますよね。
    ソフトバンクってそういう会社ではないんでしょうか?
    優れた商品、売れそうな企画を見つけて自社の商品として売る。
    それのどこが悪いのかわかりません。

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