・小学生が植樹したネムノキ
朝のウォーキングは、毎日ほぼ同じ道を歩いていますので、周辺のものは必ず見ているはずなのですが、なぜか意識に定着することなく、ある時ハッとその存在に気づくものってあります。今朝は淡いピンクのポヤポヤしたものが、緑の葉の中に浮かんでいるのが目に付きました。あれ、そういえばもうこんなに咲いていたのか、と新たな気持ちで見上げました。
勝淵神社前の丸池公園の入口にあるマメ科の落葉高木、ネムノキ(合歓の木)です。この木は三鷹市の東台小学校の生徒が植樹したもので、この公園には1本しかありません。なぜ昨日は気づかなかったのか不思議な気持ちがしました。老齢化による記憶減退症かもしれません。昨日は気づいていたのに、そのことを今朝は忘れていたのかもしれないのです。
長く針状に伸びているのは雄しべですが、赤く染めた白髪が頭皮に近いほうから色が抜けて白くなっているような奇妙な感じを受けます。花はこの雄しべの付け根の部分にあって、夏を過ぎるころ、平べったいサヤエンドウのような実をつけます。
シダのような形をした葉に特徴があって、大辞泉の説明によると「葉は羽状複葉で、互生し、小葉が数十枚並んでつく。夜になると、小葉が手を合わせたように閉じて垂れ下がる」とあり、この就眠運動と呼ばれる葉の動作が、夜は眠っているように見えるところから、ネムノキという名前がつけられたようですね。
地方によって「眠た木」「ねんねの木」「眠りの木」「眠り子」などとも呼ばれています。ゴウカンボクとも読む「合歓の木」の、「合歓」は閉じた葉が寄り添って寝る男女の姿に似て見えるということからの当て字でしょう。しかし、国語辞典を引くと「合歓」と「強姦」はすぐ隣り合っているという偶然のいイタズラが、面白いですね。
でも、生来真面目な私は、ネムノキというと、すぐに宮城まり子さんの創立した「ねむの木学園」(http://www.nemunoki.or.jp/)を思い出します。ぜひ、URLをクリックして公式ホームページにアクセスしてください。
・数値にとらわれることの恐ろしさ
6月20日掲載の読売新聞の記事批判でも書きましたが、菅総理の消費税に関する発言が、例によってマスコミ1人歩きを始めていますね。昨日の首相官邸での記者会見でも、まるで税率引き上げを10%と決めたかのような質問があり、総理は「参議院選挙後、なるべく早い時期に超党派で消費税を含む税制改革についての議論を進めたい、その時に野党第1党である自民党の提案する10%は参考の1つである」と繰り返し発言していました。
マスコミはどうしても、菅内閣はもうすでに消費税率を10%引き上げることを決めたことにしたいのでしょう。そういう姿勢で報道をしておいて、世論調査をするのですからタチが悪い。NHKをはじめとするテレビ各局、新聞社各紙の直近世論調査では、すでに菅内閣の支持率が、軒並み数%以上下落していて、その理由の大半が消費税に対する首相の発言にあるというのです。こういう報道姿勢は何とかならないものでしょうか?
話は替わって、今朝の朝日新聞「記者夕論」です。担当記者は編集委員の安井孝之さん。タイトルが面白い。「成長戦略 減税でiPadは生まれるのか」とあります。ほ~いったい何のことと思わせますよね。ところどころ引用しながら要約します。
テーマは最近話題の法人税率の問題なのです。日本は諸外国に比べて法人税率が高い。景気を浮揚させ、経済を成長させるにはこれを引き下げなくてはいけない、これが多くの学者、経済人の主張です。菅内閣も検討してできるだけ下げたいというようなことをいっています。
安井さんは、世界のエレクトロニクス企業が、売上高からどれだけ税金を払っているかの比率を計算されました。数値は2007年と09年度の平均で、08年度はリーマン・ショックの影響が大きいので除いたそうです。その計算結果は、
・アップル(米)6.3% ・ノキア(フィンランド)2.4% ・サムスン(韓国)1.7% ・パナソニック(日本)1.6% ・ソニー(日本)1.3%
この計算結果から、地方税を含む日本の法人課税が諸外国より重いというのは少し違っているのではないか、と安井さんは思うのです。ちなみに、韓国の実効税率は24.2%で、日本の法人税率は40.7%(注1)。しかし、売上高比納税額はサムスンのほうが多い。
これは日本はたしかに税率は高いが、付加価値の高い利益のとれる商品が少ないので、利益が少なく支払う税金も少ない、ということを物語っているというのです。そして、経済界は競争力アップのため、法人税率の引き下げを求めているが、まず利益率を引き上げるように知恵を絞るのが先ではないか、といいます。そして次のような見解で結ばれています。
― 税率が高いから日本勢からiPadが生まれなかったわけではない。税率を下げればiPadが生まれる保証もない。5%の法人税率下げで1兆円の財源がいる。減税の費用対効果を見極める「仕分け作業」が必要だ。―
これはかなりまともな「論」だと思います。あの「超」整理法で知られる野口悠紀雄さんも「法人税の軽減で経済は活性化しない」といっています(http://essays.noguchi.co.jp/archives/14)。つくづく思うのは、数字の1人歩きの怖さです。経済学には元々そういう数字崇拝の信仰があって(注2)信用ならないのですが、これに不勉強なマスコミ記者が加わり、票がほしい政治家が乗ると、とんでもないことが起こります。
消費税率にしても法人税率にしても、すぐに他国の税率との単純比較をします。テレビのニュース番組でコメンテイターが、スウェーデンやオランダの消費税は25%ですからね、と得意気にいうと、周りの出演者や視聴者の多くは「へ~、そうなんだ。じゃあ10%ぐらいは仕方がないのかな」という反応をするのです。
しかし、資産数10億円の人と、借金しかない私とでは、同じ1万円でも重みが違います。それと同じで、税率は数値だけでは判断できません。それぞれの国の総合的な情勢を検討した上でなければ数値が意味している実態はわからないのです。マスコミや政治家、経済専門家の単純数値比較には、ゆめゆめだまされてはいけません。
(注1)財務省発表の「法人所得課税の実効税率の国際比較」では以下の数字となっています(2010年1月現在)。
・日本 40.69% ・アメリカ(カリフォルニア州)40.75% ・フランス 33.33% ・ドイツ(全ドイツ平均)29.41% ・イギリス 28.00% ・中国 25.00% ・韓国 24.20%
(注2)私は大学では経済学科に在籍しました。しかし、入学してすぐに経済学に失望しましたから、大学は通り過ぎただけに過ぎません。第1年度で学ぶ「経済原論」の教科書は、どの大学でもポール・サミュエルソン(Paul A. Samuelson 1915 – 2009)の「Economics」がその頃は多かったと思います。まあ、なるほどという部分もあるのですが、たとえば「財(goods)」と「効用(utility)」の関係を数値で表わし、そのどちらかの1単位を追加(extra unit)すると両者の関係はこう変化する、などという論証に数式やらグラフなどが出てくるのですね。これが私には納得できなかったのです。「効用の1単位」ってなんだろう、と考えると紅葉に染まった渓谷の滝が見えてくる始末でした。でも、もう少し真面目に勉強しておけば、もっといい原稿が書けたのかもしれないなどと、最近は多少反省しています。


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