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●SNF日誌とは

 たしかに、ウンザリさせられることの多い毎日で、新聞、テレビなどのマスコミも、まるでこれしか話題がないかのように、残忍な事件や、経済の停滞、政治批判を並べ立てています。ていねいに見たり読んだりしていると、生きているのが無駄であるかのような気さえしてきます。
 しかし、人間社会には、もっと心豊かになる話題もたくさんあります。素晴らしい技術の研究や開発に寝食を忘れている人もたくさんいます。本欄では、そんな“ちょっといい話”をたくさん集めて、人間として生まれてきてよかったという気持ちを多くの人々と共有したいと思っています。同時に、その“いい話”を引き立てるために、“イヤな話”も時々交えることもありますが……。

歩くこと~なるべく病院に行かないための健康法(1)

・プロローグ:強い意志をもって歩くこと

 私は健康法とは無縁の生活を長年してきました。むしろ体に悪いことばかりしてきたといってもいいほどです。さすがに、何日も寝込むほどではありませんが、体調を崩すことが多くなり、これではまずいかなと気づきました。そんなときに、だらしのないあなたにも出来るからと、ツレアイに強く勧められたのが朝歩きでした。15年ほど前から始めたのですが、なかなか長続きしません。
 しかし、とあることから一念発起、昨年からは雨が降ろうが風が吹こうが、1日も休まず毎朝1時間歩くことを決意し、実行してきました。この体験でじつにいろいろなことを知りました。もちろん、万人に適応する健康法などありません。私がこの日誌の新しいカテゴリーとして連載する「健康法」はあくまでも、私の体験に、これまでに知り合った多くの人の体験を加え、さらに付き合ってきた医師や医学関係者の意見も重ね合わせて、こうではないかと考えたことをお話するものです。医療と健康法に関する気軽な読み物としてご愛読ください。

 まず、写真をご覧いただきましょう。まだ寒い3月ごろの写真ですが、この男性は私の歩き仲間の1人で、元・中華料理店店主の金本さんです。かなり以前から歩いている姿は拝見していたのですが、正式にご挨拶をし、お話をするようになったのは昨年夏ごろからです。
 何しろ右手に杖をもち、左半身がかなり不自由な感じですので、なかなか挨拶以外の言葉は掛けにくかったのです。記録帳には“cane(杖)”のCをとって、Mr.Cと書いていました。「いつもの時間にMr.Cと出会う。お元気そうだ。毎日歩くのはさぞ大変だろう」という具合です。
 そのMr.Cと名乗りあうことになったのは、猫のお陰です。Cさんが勝淵神社のすぐ裏手で、ノラ猫に話しかけエサを与えている姿を何度か見かけて、私も猫が大好きなので、猫を話題にすればスムーズに会話が出来るかもしれないと思ったのです。
 今から思えば別に猫を話題にしなくてもよかったのです。Mr.C、金本さんはとても率直な方で、名乗りあってすぐにいろいろなお話を聞くことができました。そして、ご自分の体のことも自ら話されたのです。

 金本さんは、10年ほど前に脳梗塞で倒れられました。手術はできず、入院後3年近くは寝たきりで、医師からは「たとえ命があっても、これから残りの一生は車椅子を覚悟するように」といわれたそうです。しかし、リハビリ専門の病院に移されてから、金本さんは人の何倍もリハビリに励みました。
「車椅子生活なんて、とんでもない。絶対歩けるようになってみせる」という強い決意で、医師が驚くほどの回復をみせ、退院することができました。
 退院後はまだ歩行はスムーズではなかったのですが、医師の無理をするなという忠告を無視し、ご自宅から仙川河畔を歩く4キロほどのコースを毎日歩き始めたのだそうです。自力で歩けなくては生きている甲斐がないと思われたのですね。
 最初のうちは、よく転ばれたそうです。この転倒が危険で、片側の手足が不自由ですからバランスがとれず、どうしてもバタンと板を倒すように倒れてしまうのです。歩き始めて7年ほどの間に、数回骨折したそうです。しかし、金本さんは骨折にめげることなく、今でも毎日歩き続けています。
 1年に何回か検査を受けますが、担当の医師は「そうやって無理をして歩いていると、だんだん関節が傷んで今度は歩けなくなるぞ、無理するな」というのですが、金本さんは聞く耳をもたず歩き続けています。昨年の検査では、関節はどこも正常だったそうです。
「ついに医者はいったよ、お前はバケモノだって、ハハハ」
 こうして文字にすると簡単なことのようですが、毎朝歩き続けることは、正常人でも難しいのです。金本さんの精神力には心底脱帽します。そして、毎日歩くことが、他の臓器にもいい影響を与えるのでしょう、金本さんは血色もよく、健康そのものに見えます。
 冬でも夏でも、午前4時26分に家を出るそうです。このスタート時刻には特に意味がないのだそうですが、一度決めたことは必ず守る、これが継続には大事なんですね。私は冬の間は30分~1時間遅く出ます。それでも暗いし寒いし、何度も止めようかと思うのですが、金本さんの意思の強さは、まさに超人的です。
 私の医と健康の連載には、金本さんはこれからもしばしばご登場願うことになります。そうそう、ご本名や写真を掲載することは喜んでご承知いただきました。

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